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36歳・AMHが低く体外受精をすすめられていた方の相談事例

執筆・監修:薬剤師 西岡敬三 公開日: 更新日:

黄体機能不全と高プロラクチン血症があり、流産後に3年間治療を中断していた36歳の方の相談事例です。病院からはAMHが低いので体外受精をすすめられていました。基礎体温の型と血液検査から「気の滞りと血の巡りの悪さ、子宮の冷え」と見立て、食事と睡眠を整えながら血を補い巡らせることを優先し、採卵の1か月前に温める方向へ切り替えました。相談から半年ほどで1回目の採卵に進み、その後、体外受精で妊娠、出産したと報告をいただきました。

ご本人の同意を得て、お寄せいただいた体験談をもとに薬剤師 西岡敬三が再構成しています。病院の治療と並行しての相談であり、処方内容は体質により異なるため記載していません。

相談時の状況

36歳。結婚後に不妊治療を2年続けましたが、その途中で体調を崩し、3年間治療を離れていました。体調が戻り、もう一度だけ挑戦しようと決めて、治療再開とあわせて当店に来られました。ご本人の中には「1年をめどに」という期限がありました。

病院ではAMHが低いことを理由に体外受精をすすめられていました。初回にお伝えしたのは、体外受精は病院に任せ、当店では採卵までに体の土台を整えていきましょう、ということです。ここで言う土台とは、子宮への血流、体温を保つ力、血を作る材料の三つです。

病院で行っていた治療

診断名は黄体機能不全、高プロラクチン血症、子宮内膜症です。中断前は排卵誘発剤による治療で、その周期に妊娠したものの9週で流産しています。再開後は体外受精の方針で、採卵に向けて準備を進める段階でした。プロラクチンは病院で薬による管理が行われており、当店の相談はそれと並行して進めました。

何に困っていたか

体のことでは、生理痛が強いこと、高温期が短く周期が安定しないことでした。

それ以上に、気持ちの置き場がありませんでした。なぜ私ばかりこんなにつらい目にあうのだろう、友人の妊娠を素直に喜べない自分が嫌い、こんな些細なことを聞いたら迷惑かな。相談の最初の頃は、こうした言葉が多くを占めていました。

血液検査・基礎体温で確認したこと

項目 確認したこと 相談での見方
プロラクチン 基準より高い 排卵と黄体機能に影響しやすい。病院の薬で管理
AMH 低い 残っている卵子の数の目安が少ない。数は増やせないので状態を整える方針
不足の所見 血を作る材料が足りていない
基礎体温 低温期から高温期への上昇が緩やか、高温期が短い 温まる力が弱く、黄体期を支えきれていない

鉄の不足は血の材料の不足、上昇が緩やかな基礎体温は温まる力の弱さ、短い高温期は黄体期を支える血と熱の不足。三つの所見が同じ方向を指していました。

中医学ではどう考えたか

肝鬱による気滞と血瘀、子宮の冷えと見立てました。言い換えると、長い治療と流産のストレスで気の流れが滞り(肝鬱、気滞)、それが血の流れを妨げて滞りを生み(血瘀)、強い生理痛と内膜症の背景になっている。血の材料が足りないので高温期を支えられず、子宮が温まりにくい、という筋道です。

この方は生理痛が強く、基礎体温の上昇が鈍いことが、血瘀と冷えの目印になりました。見立ては検査値だけからではなく、こうした体の様子と合わせて立てています。

食事・睡眠・生活で変えたこと

甘いものを少し減らし、タンパク質を中心にした食事に変えてもらいました。鉄の不足には、料理に使う鉄玉を購入してもらい、お湯を沸かすときに入れる習慣にしました。睡眠は夜更かしをやめ、できるだけ早寝早起きに。

どれも大きな変更ではありません。当店の相談では、治療を離れていた期間に食事と睡眠が崩れている方をよく見かけます。この方も再開にあたって、まずそこから戻していきました。

漢方相談で行ったこと

前半は血を補い、巡らせることを優先しました。子宮内の血液循環を良くして、着床環境と卵子の状態を少しでも整える方向です。

採卵の1か月前から、温める方向へ切り替えました。理由は二つあります。一つは、血の材料が増えてから温めないと、温める力の行き先がないこと。もう一つは、採卵直前の1か月は卵胞が育つ時期にあたり、この方の弱点である温まる力を最後に補いたかったことです。

もう一つ行ったのは、話を聞くことです。他の人には言いにくいことでも私に言ってすっきりして帰ってもらう。来られたときは暗い表情でも、帰るころには少しでも笑顔が見られるように心がけました。先生とお話しするとホッとする、と言っていただけたのを覚えています。

その後の経過

相談を始めて半年ほどで1回目の採卵に進み、病院の先生から良いグレードのものが採れたと言われた、と報告をいただきました。その後、体外受精で妊娠し、無事に出産されました。

これはこの方の経過であり、同じ期間で同じ結果になることを保証するものではありません。妊娠と出産はご本人からの報告です。採卵の結果は病院の先生の評価であり、当店で確認したものではありません。

西岡から同じ悩みの方へ

吐き出す場所がないと、その感情は体の中で澱のように溜まり、やがて「私なんて」という自己否定につながってしまいます。それだけはしないでほしいと思っています。ひとりで抱えているより、いろいろ話すことで気持ちが楽になればいい。些細なことでも、迷惑ではありません。

体のことでは、AMHが低いと言われても、卵子の数は増やせなくても状態は整えられる余地があります。基礎体温の上昇が鈍い、高温期が短い、生理痛が強い。こうした目印があるなら、検査値と一緒に見せてください。そこから一緒に考えます。

関連するコラムは、AMHが低いと言われたら黄体機能不全と妊活基礎体温タイプ別ガイドをご覧ください。

最終更新日 2026年9月4日
文責 薬剤師 西岡敬三(漢方の葵堂薬局)

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