「検査では特に異常はありません」と言われた。それなのに、なかなか授からない。当店にご相談に来られる方から、最もよく伺うお話です。
結婚すればすぐに赤ちゃんが授かるもの、と思っておられた方ほど、この状況に戸惑われます。ただ、妊娠しにくいのには必ず理由があります。一般的な不妊症検査ですべてが分かるわけではないため、誰に尋ねても答えが返ってこないというだけで、どこかに理由は存在しています。
ここでは、検査では見つかりにくい代表的な4つの理由を挙げます。
1. 卵巣の働きが落ちている
卵巣の働きは、脳の視床下部から下垂体へ、下垂体から卵巣へという指令系統によって保たれています。このどこかに不具合が生じると、卵巣の働きが十分に発揮されなくなります。
卵胞が育つにつれて増えるはずのエストロゲンが十分に増えないと、排卵が起こらなかったり、排卵までに時間がかかったりします。また子宮内膜が厚くなりにくいため、受精しても着床がうまく進みにくい状態にもなります。
思い当たる方は、次のような状態がないか確認してみてください。
- 低温期が長く、高温期が短い
- 高温期の途中で体温が下がる
- 排卵がうまくいかないと言われている
- おりものが少ない
基礎体温にあらわれる型については基礎体温タイプ別ガイドで整理しています。
2. 卵管のピックアップ障害
排卵された卵子は、卵管采という器官に吸い上げられて卵管へ送られます。この卵管采がうまく働かないと、卵子が卵管に入れず、精子と出会うことができません。これをピックアップ障害と呼びます。
やっかいなのは、卵管の検査を受けても分からないという点です。卵管造影検査で分かるのは卵管が通っているかどうかであって、卵子を拾い上げられているかどうかではありません。
体外で卵子と精子を出会わせた場合、受精そのものは多くのケースで成立します。つまり、体の中で精子と卵子が出会えていないという例が相当数あるということになります。
3. 卵子の質
女性は、卵子のもとになる細胞をすべて持って生まれてきます。出生時におよそ200万個。成長とともに減っていき、20代では20〜30万個ほどになります。その後も月経周期ごとに減り続け、35歳を過ぎると減少のスピードが上がっていきます。
生まれたときから体の中にあるものですから、体が年を重ねれば卵子も年を重ねます。若いほうが妊娠しやすいと言われるのは、この点が関係しています。
ただ、卵子の質は超音波で見ても、AMHやFSHを測っても分かりません。これらの数値が示すのはおおよその残りの数であって、質ではないためです。AMHが低いと言われたら、FSHが高いと言われたらもあわせてご覧ください。
4. 受精障害
卵子と精子が出会っても、受精の過程がうまく進まないことがあります。精液検査の数値が正常でも、精子が卵子に付着しないといったことが起こり得ます。頻度としては多くありませんが、精液検査のデータから精子の受精する力までは分かりません。
受精障害は、実際に体外で受精を試みてはじめて分かることがほとんどです。
体からの「声」に耳を傾けていますか
ここまで4つ挙げましたが、お話を伺うときに私が同じくらい重く見ているのが、次のような日々の不調です。
- 寝つきが悪い、眠りが浅い、変な夢をよく見る
- 生理痛がある、経血量が少ない、生理不順
- 冷え、貧血
- イライラする、怒りっぽい、気分が晴れない、やる気が出ない
- 便秘、下痢、食欲がない
これらは不妊とは無関係に見えるかもしれません。しかし卵巣も卵子も、あなたの体の一部です。体全体のコンディションが整っていないのに、卵巣や卵子だけが良い状態になるということは考えにくいのです。
西岡より(薬剤師・西岡敬三)
「原因が分からない」と言われることのつらさは、原因がはっきりしている場合とはまた質の違うものだと感じています。手の打ちようがない、と受け取ってしまわれるからです。
ただ、検査で異常がないというのは「検査項目の範囲では引っかかるものがない」という意味であって、体の状態が万全だという意味ではありません。ひとつひとつ、ほどいていけることは残っています。
基礎体温表と、可能であれば病院での検査結果をお持ちいただければ、いまどのあたりから手を付けるとよいかをご一緒に整理できます。ご相談はこちらから承っています。
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