「高温期が長すぎるタイプ」とは、高温期が14日を大きく超えて続く、または低温期との温度差が0.5℃以上と大きすぎる基礎体温パターンです。まず最初に確認すべきは妊娠の可能性——高温期が16日以上続く場合は妊娠検査を優先してください。妊娠でない場合、東洋医学では身体の潤い不足による「こもり熱」のサインと捉えます。漢方の葵堂薬局(大阪・堺/薬剤師 西岡敬三)が解説します。
この記事の要点
- 高温期16日以上はまず妊娠検査。この確認が最優先
- 妊娠でない場合、東洋医学では「陰虚」(潤い不足)による熱のこもりと考える
- 潤いを補う食養生と、熱をこもらせない生活リズムが整えの鍵
このタイプの見分け方チェックリスト
- 妊娠していないのに高温期が14日を大きく超える周期がある
- 低温期と高温期の差が0.5℃以上ある
- のぼせ・ほてり・寝汗をかきやすい
- 口や喉、肌の乾燥を感じやすい
- 夜更かしが続いている、眠りが浅い
陰陽五行から見た原因——潤い(陰)の不足と、こもる熱
東洋医学では、身体を潤し冷ます「陰」と、温め動かす「陽」のバランスで体温リズムを捉えます。陰(潤い・血)が不足すると、相対的に陽が余って熱がこもり(陰虚内熱)、体温が下がるべきタイミングで下がりにくくなると考えます。五行では潤いの源は「腎の陰」。夜更かしや過労は腎陰を消耗させる代表的な要因です。また、血の滞り(瘀血)が熱を持つケースもあり、経血の塊や刺すような生理痛が手がかりになります。
相談現場でよくある傾向
葵堂薬局のご相談では、このタイプの方に「仕事が忙しく睡眠が削られている」「辛いもの・お酒が好き」「頬のほてりや目の疲れが強い」という傾向が見られます。一見「体温が高い=温かくて良い」と思われがちですが、潤い不足の空焚き状態では卵胞や子宮内膜を潤し育てる材料が足りません。「冷やす」のではなく「潤いを補う」方向の養生が必要な、間違えやすいタイプです。
このタイプの食養生——潤いを補い、熱をこもらせない
- 陰を養う:山芋・白きくらげ・豆腐・豆乳・梨・トマト・貝類・卵
- ほてりを鎮める:緑豆・セロリ・菊花茶・ミント
- おすすめ習慣:23時までの就寝(潤いは夜つくられます)・こまめな水分補給
- 控えたいもの:唐辛子など強い辛味・アルコール・サウナや長風呂のしすぎ
体質に合わせて検討される代表的な漢方薬
- 六味丸:腎の陰を補う基本処方。ほてり・乾燥のある方に
- 杞菊地黄丸:陰虚に目の疲れ・かすみを伴う方に
- 桂枝茯苓丸:瘀血による熱のこもりが疑われる方に
「熱がある=冷ませばよい」ではないのがこのタイプの難しさ。必ず薬剤師に体質を確認してもらってから服用してください。
よくある質問
Q. 高温期が16日続いています。妊娠でしょうか?
A. その可能性があります。まず妊娠検査薬で確認し、陽性なら早めに婦人科を受診してください。陰性なのに高温が続く場合は体質面の見直しどきです。
Q. 高低差が大きいのは良いことではないのですか?
A. 二層に分かれること自体は大切ですが、差が0.5℃以上と大きすぎる場合は潤い不足による熱のこもりが隠れていることがあります。のぼせや乾燥を伴うなら整えたいサインです。
Q. のぼせ・ほてりと妊娠しやすさは関係ありますか?
A. 東洋医学では関係すると考えます。潤い(陰・血)は卵胞と子宮内膜を育てる材料でもあるため、陰虚のサインであるのぼせは放置せず養生で整えることをおすすめします。
まとめ
このタイプは「補水」が合言葉。睡眠と潤い食材で空焚きを解消し、ふかふかの畑づくりを進めましょう。
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西岡より——「畑を耕す」という考え方
私はよく、妊活を畑づくりに例えてお話しします。作物を育てたことのない人が、普通の10倍も高い種を買って「さあ育てるぞ」と意気込んだとします。植える場所に選んだのは、廃校になった小学校の運動場。何度か芽は出ましたが枯れてしまい、何回植えてもうまくいきません。そこを通りかかったおじいさんが言いました。「こんな土の硬い、栄養のないところに植えても作物は育たないよ。植えるなら、しっかり耕して肥料をまいてからだ」。
人の身体も同じだと私は考えています。どんなに良い受精卵でも、迎える子宮が冷えて栄養が足りなければ、根を張ることは難しい。日本は体外受精の実施件数では世界有数ですが、出生率はそれに比例していません。最先端の医療はもちろん必要です。ただその前に、「妊娠しやすい身体づくり」が置き去りにされていないでしょうか。
忘れられない方がいます。43歳で体外受精中、採卵できた3個の卵子のうちランクの良い2個を戻しても妊娠に至らず、「残っているのは一番ランクの低い卵子だし、年齢も年齢だから」と、3回目を始める前から諦めておられました。私はこうお話ししました。「ランクは低いかもしれません。でもその卵子自体は、必死に生きようとしています。それを最初からダメだと決めつけるのはどうでしょう。『しっかり私が受け止めてあげるわ』と、前向きに迎えてあげませんか」。この方はその3回目で妊娠され、お子さんが小学生になった今も、お店の前で会うと挨拶を交わす仲です。もちろん、すべての方が同じ経過をたどるわけではありません。それでも、身体と心の畑を耕すことには意味がある——そう教えてくれた出会いでした。
妊活は結果が出るまで時間がかかるものです。焦るあまり、あれもこれもと頑張りすぎて、ご自身をすり減らしてしまう方をたくさん見てきました。どうか一人ですべてを抱え込まず、ご自身を一番に大切にしてください。
この記事の執筆・監修者
西岡 敬三(にしおか けいぞう)
漢方の葵堂薬局(大阪府堺市) 代表/薬剤師
1987年 京都薬科大学卒業
1987年 帝国化学産業株式会社入社:新薬の研究(論文:実験的胃粘膜傷害に対するBenexate・CDの作用)
1990年 帝国化学産業株式会社退社、漢方の修行へ
1998年 漢方の葵堂薬局を開局
2001年 有限会社漢方の葵堂薬局 設立
西洋医学にも精通した漢方専門薬剤師。「食べたもので身体ができている」をモットーに栄養学にも精通し、血液検査データの分析と漢方・中医学・食養生の視点から、一人ひとりの体質に合わせた養生と漢方相談を行っている。NLPマスタープラクティショナー認定。20年以上にわたり全国から不妊・二人目不妊の相談を受け、電話・オンラインでのカウンセリングにも対応。
著書:
『心もカラダもラクになる 血流の整えかた』
『病院では教えてくれない 西岡式妊活で妊娠まっしぐら』
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、医学的な診断・治療に代わるものではありません。漢方薬は体質によって適否が異なるため、服用の際は必ず薬剤師にご相談ください。婦人科・不妊治療に通院中の方は主治医にもご相談のうえ併用をご検討ください。

