ストレスで基礎体温がガタガタに?イライラタイプ(肝気鬱結)の妊活と漢方

「イライラタイプ」とは、ストレスや緊張の影響で基礎体温がギザギザに乱れやすく、周期も不安定になりがちな状態です。東洋医学では「肝気鬱結(かんきうっけつ)」——気の巡りの滞りとして捉えます。漢方の葵堂薬局(大阪・堺/薬剤師 西岡敬三)が、ストレスと妊娠しやすさの関係、体質の整え方を解説します。

この記事の要点

  • 強いストレスは自律神経・ホルモン分泌に影響し、基礎体温のガタつきとして現れることがある
  • 東洋医学では「肝」の気の滞りが月経リズムを乱すと考える
  • 「頑張らない」ことも妊活の一部。気を巡らせる食材と漢方がサポートになる

イライラタイプの見分け方チェックリスト

  • 基礎体温のグラフがギザギザと乱高下しやすい
  • 生理前にイライラ・胸の張り・頭痛が強くなる
  • ため息が多い、喉に何かつかえた感じがする
  • 周期がストレスの多い月に乱れやすい
  • 「赤ちゃんまだ?」の一言に強いプレッシャーを感じる

陰陽五行から見たストレスと子宮の関係

五行で「肝」は木に属し、気をのびやかに巡らせ、血を蓄えて子宮に送る役割を担います。ストレスで肝の気が滞ると、血の巡りも滞り(気滞血瘀)、月経リズムや排卵のスムーズさに影響します。さらに木は土(脾=消化)を抑えつけるため、ストレスで食欲や消化が乱れ、気血の生産まで落ちる悪循環に。「イライラ→体温ガタガタ→焦ってさらにイライラ」の連鎖を断つことが第一歩です。

相談現場でよくある傾向

葵堂薬局のご相談で最も多いのが、まさにこのタイプです。「不妊治療のスケジュールそのものがストレス」「周囲からのプレッシャーで生理が遅れた」という声を数えきれないほど伺ってきました。印象的なのは、相談で気持ちを吐き出し「頑張らないでいい」と発想を切り替えた頃から、グラフが穏やかになっていく方が多いこと。当薬局がNLP(神経言語プログラミング)の視点も取り入れ、心のカウンセリングを重視しているのはこのためです。

もう一つお伝えしたいのが、ネットの情報に振り回されないことです。「カフェインが良くないから」とコーヒーを我慢して、その我慢自体がストレスになっている方がよくいらっしゃいます。緑茶をよく飲む地域や、コーヒーをよく飲む国で特別に不妊が多い、という話は聞きません。問題になるのは飲みすぎだけです。そして、卵子の元となる一次卵胞が排卵までに育つには、およそ半年かかります。今月の結果に一喜一憂して焦っても、身体はそのスピードでしか変われません。「考えすぎないこと」も立派な妊活の一部——相談の場でいつもそうお伝えしています。

イライラタイプの食養生

  • 気を巡らせる:柑橘類(みかん・ゆず・グレープフルーツ)・しそ・セロリ・三つ葉・ミント
  • 香りでゆるめる:ジャスミン茶・カモミールティー・ゆず湯
  • 控えたいもの:カフェインの摂りすぎ・寝る直前のスマホ・我慢の溜め込み

体質に合わせて検討される代表的な漢方薬

  • 加味逍遥散:イライラ・のぼせを伴う気滞の代表処方
  • 逍遥散:気の滞り+血の不足が混在する方に
  • 抑肝散:神経の高ぶり・眠りの浅さが強い方に

いずれも体質との相性が重要です。服用中の薬との兼ね合いも含め、薬剤師にご相談ください。

よくある質問

Q. ストレスだけで基礎体温は乱れますか?

A. 乱れることがあります。体温調節と排卵は脳(視床下部)がコントロールしており、強いストレスはその働きに影響します。グラフのガタつきは心身からのサインです。

Q. イライラと妊娠しにくさは関係ありますか?

A. 東洋医学では深く関係すると考えます。気の滞りは血の滞りを生み、子宮・卵巣への巡りに影響するためです。まず気を巡らせる養生から始めましょう。

Q. リラックスすれば漢方は不要ですか?

A. 生活の工夫で改善する方もいますが、滞りが長い方は体質面のサポートがあると変化が早い傾向があります。基礎体温表を見ながら必要性をご一緒に判断します。

まとめ

イライラタイプの妊活の合言葉は「頑張らないで」。気の巡りが戻れば、基礎体温は自然と穏やかな二層へ近づいていきます。一人で抱え込まず、まずは話すことから始めてください。

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西岡より——「畑を耕す」という考え方

私はよく、妊活を畑づくりに例えてお話しします。作物を育てたことのない人が、普通の10倍も高い種を買って「さあ育てるぞ」と意気込んだとします。植える場所に選んだのは、廃校になった小学校の運動場。何度か芽は出ましたが枯れてしまい、何回植えてもうまくいきません。そこを通りかかったおじいさんが言いました。「こんな土の硬い、栄養のないところに植えても作物は育たないよ。植えるなら、しっかり耕して肥料をまいてからだ」。

人の身体も同じだと私は考えています。どんなに良い受精卵でも、迎える子宮が冷えて栄養が足りなければ、根を張ることは難しい。日本は体外受精の実施件数では世界有数ですが、出生率はそれに比例していません。最先端の医療はもちろん必要です。ただその前に、「妊娠しやすい身体づくり」が置き去りにされていないでしょうか。

忘れられない方がいます。43歳で体外受精中、採卵できた3個の卵子のうちランクの良い2個を戻しても妊娠に至らず、「残っているのは一番ランクの低い卵子だし、年齢も年齢だから」と、3回目を始める前から諦めておられました。私はこうお話ししました。「ランクは低いかもしれません。でもその卵子自体は、必死に生きようとしています。それを最初からダメだと決めつけるのはどうでしょう。『しっかり私が受け止めてあげるわ』と、前向きに迎えてあげませんか」。この方はその3回目で妊娠され、お子さんが小学生になった今も、お店の前で会うと挨拶を交わす仲です。もちろん、すべての方が同じ経過をたどるわけではありません。それでも、身体と心の畑を耕すことには意味がある——そう教えてくれた出会いでした。

妊活は結果が出るまで時間がかかるものです。焦るあまり、あれもこれもと頑張りすぎて、ご自身をすり減らしてしまう方をたくさん見てきました。どうか一人ですべてを抱え込まず、ご自身を一番に大切にしてください。

この記事の執筆・監修者

西岡敬三(漢方の葵堂薬局 代表・薬剤師)

西岡 敬三(にしおか けいぞう)
漢方の葵堂薬局(大阪府堺市) 代表/薬剤師

1987年 京都薬科大学卒業
1987年 帝国化学産業株式会社入社:新薬の研究(論文:実験的胃粘膜傷害に対するBenexate・CDの作用)
1990年 帝国化学産業株式会社退社、漢方の修行へ
1998年 漢方の葵堂薬局を開局
2001年 有限会社漢方の葵堂薬局 設立

西洋医学にも精通した漢方専門薬剤師。「食べたもので身体ができている」をモットーに栄養学にも精通し、血液検査データの分析と漢方・中医学・食養生の視点から、一人ひとりの体質に合わせた養生と漢方相談を行っている。NLPマスタープラクティショナー認定。20年以上にわたり全国から不妊・二人目不妊の相談を受け、電話・オンラインでのカウンセリングにも対応。

著書:
『心もカラダもラクになる 血流の整えかた』
『病院では教えてくれない 西岡式妊活で妊娠まっしぐら』

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、医学的な診断・治療に代わるものではありません。漢方薬は体質によって適否が異なるため、服用の際は必ず薬剤師にご相談ください。婦人科・不妊治療に通院中の方は主治医にもご相談のうえ併用をご検討ください。